AI絵師

AI絵師が嫌い・気持ち悪いと感じる理由|正論だけでは片付けられない感情を解説

AI絵師が嫌い・気持ち悪いと感じる理由|正論だけでは片付けられない感情を解説
sibatako

この記事ではAI絵師が批判される理由や、法律だけでは割り切れない複雑な心理を解説します。対立の背景にある問題を客観的に理解することで、これからの創作活動について考えるヒントが得られるでしょう。

この記事のポイント
  • AI絵師が嫌われる具体的な4つの理由
  • 著作権や法律だけでは説明できない心理的な問題
  • 創作者が抱く不快感や危機感の正体
  • 創作文化の未来にどのような影響があるか

なぜ?AI絵師が嫌い・気持ち悪いと言われる理由

イメージ

AI絵師が嫌われる理由は以下のとおりです。

  • 著作権を無視した無断学習
  • 創作者の努力が軽視される
  • 一部利用者の過激な言動

著作権を無視した無断学習

AI絵師が批判される最も根深い原因の一つに、AIの学習データの問題が挙げられます。画像生成AIはインターネットから膨大な数の画像を収集していますが、イラストや写真の制作者から許可を得ていないケースがほとんどです。

創作者の視点から見れば「自身の作品を勝手に使われている」と感じるのも当然の反応です。自らの作品を盗用されているのと同じだと感じる人が多く、強い反発を生む要因となっています。

日本の著作権法では「AI開発のための情報解析は原則として許諾なく行える」と解釈されています。とはいえ、創作者の感情と法律の解釈との間には大きな溝があり、この点が対立を深刻化させているのです。

創作者の努力が軽視される

イメージ

イラストレーターは多くの時間を費やして画力を磨いてきたのに対し、AI絵師はボタンひとつで高品質な画像を生成できます。この手軽さがクリエイターの努力を軽視していると捉えられているのです。

完成した作品の質だけが評価され、そこに至るまでの背景や苦労が無視される風潮は、創作活動の価値そのものを揺るがしかねないという懸念につながっています。

一部利用者の過激な言動

一部のAI利用者の振る舞いが、AIイラストという技術全体への不信感を増幅させています。「もう絵師は不要になる」「AIを使えないのは時代遅れ」といった挑発的な発言で、手描きのクリエイターを攻撃するケースが見受けられます。

特定のクリエイターの作品を無断でAIに追加学習させ、本人の作風に酷似したイラストを作成し、SNSなどで公開するといった悪質な嫌がらせも問題になっています。

イラスト投稿サイトでAI生成作品であることを隠して投稿し、ランキングを埋め尽くす事態が発生したこともありました。

このような著作権意識の低さや、創作者への敬意を欠いた振る舞いが、多くの人に嫌悪感を抱かせているのです。

正論だけでは片付けられない心理

イメージ

AI絵師に対する嫌悪感は、単に法律やルールだけの問題ではなく、人間の複雑な心理が深く関わっています。ここからは正論だけでは片付けられないクリエイターの心理について以下の内容を解説します。

  • 法律では割り切れない
  • 盗作だと感じる不快感の正体
  • 創作文化そのものへの危機感

法律では割り切れない

日本の著作権法第30条の4では、AI開発を目的とした学習データの利用は、著作権者の利益を不当に害さない限り、許諾なしで行えるとされています。

著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

〜中略〜
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合

しかし、法律上は問題ない範囲かもしれない行為でも、創作者側からすれば「自分の絵柄を勝手に学習され、模倣品を大量生産されている」という感覚を抱きます。自分の作風を無断で利用されることへの嫌悪感は「法律」という正論を並べられても解消できるものではありません。

盗作だと感じる不快感の正体

イメージ

AIが生成したイラストが、特定の作品に意図せず似てしまう問題も指摘されています。人間が他の作品から影響を受けて創作する「オマージュ」や「パロディ」とは異なり、AIには作者としての意図や敬意が存在しません。

ただデータとして処理し、それらしいものを再構成しているだけです。

「AI生成」というだけでオリジナリティを感じないというのが人間の心理としてあるのでしょう。

創作文化そのものへの危機感

AIイラストの普及は、創作活動のあり方そのものを変質させてしまうのではないかという危機感を生み出しました。これまで創作とは、人間が時間と情熱を注ぎ、技術を磨き、内面を表現する尊い行為だと考えられてきました。

AIによって誰でも手軽に高品質なイラストを生成できるようになると、創作の価値基準が大きく変わる可能性があります。手間や時間ではなく「結果」だけが重視されるようになれば、じっくりと作品に向き合う文化が衰退しかねません。

ファンとの交流などの大切な価値も失われるかもしれないという不安が、AI絵師への拒否反応の根底にあるのではないでしょうか。

クリエイターがAI時代を生き抜くための5つの戦略

AI時代をどう生き抜くか?クリエイターの生存戦略
イメージ

変化の時代を乗りこなし未来を切り拓くために、クリエイターが今からできることを5つの視点で考えてみましょう。

  • AIを創作活動に活用する
  • 独自のブランドを形成する
  • 共感を生む「物語」を作る
  • 一つのスキルに固執しない
  • 基礎的なスキルを磨き続ける

AIを創作活動に活用する

AIは敵ではありません。AIを脅威と捉えるのではなく創作活動をサポートするツールと捉えることが大切です。作業の効率化や新しいアイデアのきっかけとしてAIを活用することで、創作活動がさらに楽しくなります。

AIには以下のような活用法があります。

  • アイデア出し
  • ラフ制作
  • 背景や素材の制作
  • 参考資料の調査

AIをアシスタントとして使いこなすことで、クリエイターはより創造性の高い部分に時間とエネルギーを集中させられます。技術を否定するのではなく賢く利用することで、作品のクオリティと生産性を向上させることが可能です。

独自のブランドを形成する

独自のブランドを形成する
イメージ

AI時代にクリエイターが活躍し続けるには「あなただからお願いしたい」と言われる強力な独自ブランドの形成が不可欠です。生成AIは特定の画風を模倣できても、作家自身の個性や作品に込めた世界観、クライアントとの信頼関係といった、属人的な価値までは再現できないからです。

独自の世界観を押し出すだけでなく、丁寧なコミュニケーションや確実な納期管理といったプロとしての姿勢も、AIにはない人間ならではの価値であり、強力なブランドの一部となります。

SNSやリアルでの交流の場を増やして、独自のコミュニティを形成するのもおすすめです。単なる「絵を描ける人」から脱却し、作品や活動全体でファンを魅了する、唯一無二の「クリエイターブランド」を確立しましょう。

共感を生む「物語」を作る

AIが生成したイラストと人間が描いたイラストの決定的な違いは、作品の背景にある「物語」です。人間は美しいイラストそのものだけでなく、その作品が生まれるまでのストーリーや、作者の想いにも心を動かされます。

  • 作者がどのような経験をしてこのテーマにたどり着いたのか
  • 制作過程でどのような苦労や発見があったのか
  • この作品を通じて何を伝えたかったのか

これらの物語は作品に深みと共感を与え、ファンとの強い絆を育みます。AIが生成したイラストには、この人間的な文脈が存在しません。自身の活動や作品にまつわる物語をSNSで積極的に発信し、ユーザーとの関係性を築くことが重要です。

一つのスキルに固執しない

一つのスキルに固執しない
イメージ

AIの台頭によってイラストレーション業界の構造は大きく変化していく可能性があります。説明のための挿絵や個性を問われない量産的なイラストの需要は、AIやフリー素材に置き換わっていきます。

イラストを描くという単一のスキルに固執せず、複数のスキルを掛け合わせて自身の価値を高める視点が重要です。イラストレーターとしての基礎能力を軸に、新たな分野へ挑戦することが生存戦略となり得ます。

Live2Dや3Dモデリングを学んでイラストを動かせるようになったり、デザインの知識を深めてより訴求力の高い制作物を作れるようになったりするのもおすすめです。自身の経験を活かしてイラストの描き方を教える講師になる道もあるでしょう。

基礎的なスキルを磨き続ける

AIの技術がどれだけ発達しようとも、クリエイターとしての活動の土台となるのは、自分自身が持つ専門的なスキルです。AIの性能を最大限に引き出して優れた作品を生み出すためには、使い手である人間のスキルが不可欠になります。

基本的なスキルがなければ、作品の良し悪しを正しく判断することすらできません。

  • デッサンの知識がなければ人物の骨格の違和感を見抜けない
  • 色彩理論を理解していなければ配色の良し悪しがわからない

AIは無数の選択肢を提示してくれますが、その中から最適解を選び出し、さらに洗練させていく「キュレーション能力」こそ人間にしかできない領域なのです。

AIがあるからといって自分のスキルを磨かないクリエイターは他の人と同じことしかできないため、残念ながら仕事を失うでしょう。AIに負けないためには基盤となるスキルを磨き続ける姿勢が何よりも重要です。

まとめ

AI絵師への嫌悪感は無断学習といった著作権の問題や、創作者の努力を軽視する風潮への反発から生じています。法律の解釈だけでは割り切れない、盗作への不快感や創作文化の未来への危機感といった複雑な心理も絡み合っています。

ABOUT ME
中の人
中の人
AIを活用して生産性を高めているフリーランス|AIの素晴らしさを広めるためのブログです。
記事URLをコピーしました