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AIイラストやめてほしい…その声の背景とクリエイターの生存戦略を徹底解説

AIイラストやめてほしい…その声の背景とクリエイターの生存戦略を徹底解説
sibatako

AIイラストの急速な普及に対して、戸惑いや不安を感じる方が増えています。なぜ「aiイラスト やめてほしい」という声がこれほどまでに広まっているのでしょうか。

この記事ではAIイラストをやめてほしいという声が上がる理由や、著作権などの法的な課題を詳しく解説します。記事の後半でクリエイターの生存戦略について解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事のポイント
  • なぜ「やめてほしい」と感じるのか、その心理的・経済的背景
  • AIイラストが直面している著作権や倫理的な問題点
  • AI技術とクリエイターがこれからどう向き合っていくべきか
  • 国内外で進む法規制や社会的なルールの動向

AIイラストをやめてほしいという声が広がる背景

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AIイラストをやめてほしいという声が広がる背景として以下の内容を解説します。

  • 努力を無価値にする技術への怒り
  • 仕事が奪われることへの危機感
  • 作品を盗用されたという不信感
  • 誰でも名乗れる肩書きへの違和感
  • ルールを守らない利用者への不満

努力を無価値にする技術への怒り

長年かけて磨き上げた技術や経験がAIによって軽視されているように感じることが、反発が生まれる大きな理由です。何年も時間を費やして習得した独自の表現方法や色彩感覚が簡単な指示一つでAIに模倣されてしまう状況は、多くのクリエイターに無力感や憤りを与えます。

自分のアイデンティティの一部でもあるスキルを否定されたかのような感覚に近いものです。技術進歩の過程でクリエイターが積み重ねてきた時間や努力への敬意が払われていないと感じる点が、根深い怒りの原因となっています。

仕事が奪われることへの危機感

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AIによる低コストかつ短納期でのイラスト生成は、イラストレーターの仕事に大きな影響を与えます。これまで1枚数千円から数万円で受注していたような仕事が、より安価なAI生成サービスに置き換わる可能性が出てきました。

一部のコミッションサイトでは価格競争が激化し、人間のクリエイターへの依頼が減少したという声も聞かれます。クライアントが品質よりもコストやスピードを優先した場合、人間のイラストレーターが選ばれにくくなるかもしれません。

作品を盗用されたという不信感

自分の作品が許可なくAIの学習データとして利用されているのではないかという不信感も、反発の大きな要因です。多くの画像生成AIはインターネット上にある膨大な画像を学習データとしています。著作権で保護されたイラストが無断で含まれている可能性があるのです。

学習のプロセスが不透明なため、クリエイターは自分の作品がどのように扱われているかがわかりません。

作者のサインが残ったままの画像が生成されたり、特定の絵柄を忠実に再現するAIモデルが登場したりする事態も発生しています。

作者の意図が完全に無視されている現状が、深い不信感を生み出しているのです。

誰でも名乗れる肩書きへの違和感

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イラストレーターとは専門的な技術や知識を時間をかけて習得した人が名乗る、一種の専門職でした。しかし、AIを使えば誰でも手軽にイラストを生成できるようになったため、この肩書きの重みが薄れつつあります。

努力を積んできたクリエイターと、AIに指示を出しているだけのユーザーが「イラストレーター」として同列に見られてしまう状況に、強い抵抗感を覚える人は多いです。

ルールを守らない利用者への不満

規約やガイドラインを無視する一部のAI利用者の行動が、AIイラスト全体の印象を著しく悪化させています。コミュニティにはその場所ごとのルールやマナーが存在します。にもかかわらず、そうした決まり事を軽視する利用者が後を絶ちません。

AI生成作品の投稿を禁止しているコンテストにAIイラストを応募したり、二次創作が許可されていない作品のキャラクターを無断で生成して公開したりするケースが過去にありました。

このような行動はコミュニティの秩序を乱すだけでなく、真摯に創作活動に取り組む人々への敬意を欠いています。

一部の心ない利用者の振る舞いが、AIイラストそのものへの不満や嫌悪感を増幅させている側面は否定できません。

AIイラストが抱える法と倫理の課題

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AIイラストは社会全体で向き合うべき法と倫理の課題を抱えています。ここから以下の内容を解説します。

  • 著作権法と学習データのグレーゾーン
  • 生成物の作者は誰なのか
  • フェイク画像や悪用されるリスク
  • 加速する国内外の法整備の動き

著作権法と学習データのグレーゾーン

日本の現行著作権法ではAI開発を目的とした学習データとしての著作物利用は、原則として権利者の許諾なく行えると解釈されています。ただし、これには「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は除く、という例外規定があります。

著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

〜中略〜
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合

「不当に害する場合」の具体的な線引きが曖昧なため、大きな論点となっているのです。特定のクリエイターの画風を模倣したイラストを生成・販売するようなサービスが、この例外規定に該当するのかどうか、専門家の間でも意見が分かれています。

生成物の作者は誰なのか

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AIが生成したイラストの著作権が誰に帰属するのか、という点も世界中で議論されています。、「どこまでが人間のアイデアで、どこからがAIの自動作業か」という線引きの考え方が異なっているのです。

中国では「利用者が指示文を細かく工夫したこと」を人間の創作活動と評価し、AI生成画像の著作権を認めた判例があります。アメリカでは「人間の創作性が不十分」として、AIが主体となって生成した画像の著作権登録を認めない方針を示しました。

日本ではAIを鉛筆や筆のような「道具」と捉える考え方が主流です。AIを使っていても、そこに人間の思想や感情が創作的に表現されていれば、著作物と認められる可能性があります。

しかし、どの程度の工夫があれば「創作的」と言えるのか、その基準はまだ定まっていません。

フェイク画像や悪用されるリスク

誰でも簡単に本物と見分けがつかないほどリアルな画像を生成できるようになったことで、偽情報の拡散に悪用される懸念も高まっています。台風による水害のフェイク画像がSNSで拡散されたり、著名人の偽画像が作られたりする事件も起きました。

このようなフェイク画像は社会に混乱や不信感をもたらすだけでなく、個人の名誉を傷つける可能性があります。災害時のデマは人命に関わる事態を引き起こしかねません。

生成された画像が本物か偽物かを見分けるための技術(電子透かしなど)や、悪用を防ぐための社会的なルール作り必要になっています。

加速する国内外の法整備の動き

生成AIがもたらす様々な課題に対応するため、世界各国でルール作りの動きが本格化しています。例えばEUでは「AI法(AI Act)」の導入を進めており、AIをリスクレベルに応じて分類し、透明性の確保などを義務付けています。

アメリカでは大統領令が発出され、安全性や公正性の確保が求められました。日本でも、政府がAI事業者向けのガイドラインを策定したり、文化審議会で著作権に関する議論を重ねたりしています。

国・地域主な動向ポイント
EUAI法 (AI Act)リスクに基づいた段階的な規制、透明性の義務化
米国大統領令、集団訴訟安全性の確保、クリエイターの権利保護が焦点
中国生成AIサービス管理暫定弁法コンテンツ規制、著作権侵害に関する判例あり
日本各省庁のガイドライン、文化審議会柔軟なルール作り、著作権法改正の議論が進行中

クリエイターがAI時代を生き抜くための5つの戦略

AI時代をどう生き抜くか?クリエイターの生存戦略
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変化の時代を乗りこなし未来を切り拓くために、クリエイターが今からできることを5つの視点で考えてみましょう。

  • AIを創作活動に活用する
  • 独自のブランドを形成する
  • 共感を生む「物語」を作る
  • 一つのスキルに固執しない
  • 基礎的なスキルを磨き続ける

AIを創作活動に活用する

AIは敵ではありません。AIを脅威と捉えるのではなく創作活動をサポートするツールと捉えることが大切です。作業の効率化や新しいアイデアのきっかけとしてAIを活用することで、創作活動がさらに楽しくなります。

AIには以下のような活用法があります。

  • アイデア出し
  • ラフ制作
  • 背景や素材の制作
  • 参考資料の調査

AIをアシスタントとして使いこなすことで、クリエイターはより創造性の高い部分に時間とエネルギーを集中させられます。技術を否定するのではなく賢く利用することで、作品のクオリティと生産性を向上させることが可能です。

独自のブランドを形成する

独自のブランドを形成する
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AI時代にクリエイターが活躍し続けるには「あなただからお願いしたい」と言われる強力な独自ブランドの形成が不可欠です。生成AIは特定の画風を模倣できても、作家自身の個性や作品に込めた世界観、クライアントとの信頼関係といった、属人的な価値までは再現できないからです。

独自の世界観を押し出すだけでなく、丁寧なコミュニケーションや確実な納期管理といったプロとしての姿勢も、AIにはない人間ならではの価値であり、強力なブランドの一部となります。

SNSやリアルでの交流の場を増やして、独自のコミュニティを形成するのもおすすめです。単なる「絵を描ける人」から脱却し、作品や活動全体でファンを魅了する、唯一無二の「クリエイターブランド」を確立しましょう。

共感を生む「物語」を作る

AIが生成したイラストと人間が描いたイラストの決定的な違いは、作品の背景にある「物語」です。人間は美しいイラストそのものだけでなく、その作品が生まれるまでのストーリーや、作者の想いにも心を動かされます。

  • 作者がどのような経験をしてこのテーマにたどり着いたのか
  • 制作過程でどのような苦労や発見があったのか
  • この作品を通じて何を伝えたかったのか

これらの物語は作品に深みと共感を与え、ファンとの強い絆を育みます。AIが生成したイラストには、この人間的な文脈が存在しません。自身の活動や作品にまつわる物語をSNSで積極的に発信し、ユーザーとの関係性を築くことが重要です。

一つのスキルに固執しない

一つのスキルに固執しない
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AIの台頭によってイラストレーション業界の構造は大きく変化していく可能性があります。説明のための挿絵や個性を問われない量産的なイラストの需要は、AIやフリー素材に置き換わっていきます。

イラストを描くという単一のスキルに固執せず、複数のスキルを掛け合わせて自身の価値を高める視点が重要です。イラストレーターとしての基礎能力を軸に、新たな分野へ挑戦することが生存戦略となり得ます。

Live2Dや3Dモデリングを学んでイラストを動かせるようになったり、デザインの知識を深めてより訴求力の高い制作物を作れるようになったりするのもおすすめです。自身の経験を活かしてイラストの描き方を教える講師になる道もあるでしょう。

基礎的なスキルを磨き続ける

AIの技術がどれだけ発達しようとも、クリエイターとしての活動の土台となるのは、自分自身が持つ専門的なスキルです。AIの性能を最大限に引き出して優れた作品を生み出すためには、使い手である人間のスキルが不可欠になります。

基本的なスキルがなければ、作品の良し悪しを正しく判断することすらできません。

  • デッサンの知識がなければ人物の骨格の違和感を見抜けない
  • 色彩理論を理解していなければ配色の良し悪しがわからない

AIは無数の選択肢を提示してくれますが、その中から最適解を選び出し、さらに洗練させていく「キュレーション能力」こそ人間にしかできない領域なのです。

AIがあるからといって自分のスキルを磨かないクリエイターは他の人と同じことしかできないため、残念ながら仕事を失うでしょう。AIに負けないためには基盤となるスキルを磨き続ける姿勢が何よりも重要です。

まとめ

AIイラストをめぐる「やめてほしい」という声には、クリエイターの努力や権利への懸念など、多様で切実な理由が存在します。技術的な問題だけでなく、著作権法などの社会的なルール作りも重要な課題です。

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